研究所めぐり(348号)

   

「教える人」も幸せな教育研究所を目指して

広尾町教育研究所 所長 緑川 昌浩

はじめに

 「先生はいつも楽しそうにしているのがいいですね」

 10年ほど前、ある保護者が掛けてくれた言葉で、今も笑顔を忘れている自分に気付き、前に進む勇気をくれます。所員会議でも、所長が一番楽しそうにしているよう心掛けています。そうすれば、所員が意気に感じる研究所になると思うからです。

 今回は、広尾町教育研究所が誇る、自慢の所員の仕事ぶりをご紹介します。

「ひろお学」 担当:喜多  徹 副所長

 簡単に申しますと、総合的な学習の時間のことです。令和4・5年度の2年間を準備期間とし、令和6年度から始まりました。

 「ひろお学」は、カリキュラム・マネジメントの核となる総合的な学習の時間を充実させることがねらいです。令和4年度は所員の学びの1年でした。「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」(令和4年3月、文部科学省)をテキストに、十勝教育局義務教育指導班のご支援をいただき学習会を行いました。2年目はその知識を生かし、7年間のつながりを有する広尾町ならではの指導計画を完成させました。

 今年度は、教師が小・中学校のつながりを意識する段階を目指します。互いの授業を参観し連携を深め、同じ「中3の姿」を目標として、教師のベクトルをそろえていきます。その進行管理を担うのが喜多副所長です。

 今年度発足した広尾町学校教育推進協議会小中連携部と連携し業務を進めます。しかし、ただ進めたのでは多くの教職員がやらされ感を抱くでしょう。どんな言葉を使って教師を目標に向かわせ、短期的な成果と改善サイクルの原動力を生み出すか。これは、難しいミッションです。

 ビジョンを構想し、協働体制を構築する能力に長けた喜多副所長の手腕に期待しています。

ICT研修会 担当:井原 育美 所員

 教職員のICT活用指導能力の向上を目的に、年2回実施します。

 7月下旬に1回目の研修会が行われました。広尾小学校の教諭2人が講師となり、スマイルネクストとTeamsの授業実践を紹介してくれました。

 実践発表ですから机上の空論や理想論ではありません。ICT活用のメリットとデメリット、今後の改善点など、自分事として考える機会となりました。

 また、各自がタブレット端末を操作する演習形式で行いましたので、教師のスキルを高めることができました。

 この研修会を計画・実施しているのが井原所員です。参加しやすく実のある研修会になるよう進めてくれています。特にすばらしいのが、「着地点」を描き企画案を立てている点です。ともすると研修会をやることが目的化しますが彼女は手段と捉え、資質・能力の育成を目指すことができます。実に頼もしい存在です。

 第2回目は、12月に実施されます。Canvaに関する内容になりそうです。

学習規律 担当:黒沼 史佳 所員

 令和4年度から2年を掛けて検討し、令和6年度から小・中学校9年間を通じ取り組む形でスタートしました。

 学習規律と聞くと、「鉛筆を何本出してどこに置く」といった内容を思い浮かべるかもしれません。広尾町のものは「広尾のこども よりよい学習のために」という名称で、授業や家庭学習への臨み方をセルフチェックする内容です。一人一人のキャリア形成と自己実現との関連を念頭に、キャリアパスポートの一部として作成しました。

 3種類(初級:小学校低学年、中級:小学校中・高学年、上級:中学生)あり、系統性をもたせています。

 この取組の舵取りを行うのが黒沼所員です。ひろお学同様、何のために連携して取り組むのか、小・中学校の教職員が納得していることが大切です。その調整と進捗はベテラン教師の得意とするところ。それぞれの立場に配慮しつつ、実際の行動につながる意思疎通や良好な関係を構築する対人関係能力、人間力に期待しています。

主催講座 担当:山下 喜久 所員

 町内外から講師をお招きし、教育実践に役立つ講座を年に1回実施します。今年度は11月中旬の開催に向けて準備を進めているところです。現段階では、具体的にご紹介する材料がなく残念です。

 この業務を推進するのは山下所員です。ひろお学の推進につながる内容を第一案としつつ、北海道における「求める教員像」に関連する内容も視野に入れ、内容検討と講師選定を進めてくれています。喫緊の課題だけでなく、課題解決に導く資質能力向上にも目を向けている点がすばらしいです。中堅教員らしい視野の広さに加え、視座の高さももち合わせていることが彼の強みでしょう。山積する教育課題の中から何を講座の内容とするか、楽しみにしているところです。

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