わたしの学級経営(348号)

「自分らしさを表現し合える学級」を目指して

中札内村立上札内小学校 教諭 林 千登勢

はじめに

 休み時間になると、なぜか子どもたちは教室の私の机の周りにぱらぱらと集まり始めます。「先生、聞いて!」と子どもたちが次々に家や少年団、習い事の話をしたり話題の芸人のまねや流行りの歌を歌ったりして楽しんでいます。

 始めは4~5人だったのが、気付けば倍になっていて「次は私!」「さっき次は僕って言ったのに!」と周りを巻き込み、そこはみんなで笑い合える憩いの場となっています。「もう休み時間終わりか…。先生、昼休みもまたみんなで話そう!」と言って授業の準備に取り掛かる子どもたち。休み時間の子どもたちは自分らしさを輝かせ、自分の言いたいことやしたいことを100%発揮しているように思います。

 本来の自分の姿を、休み時間のみならず授業中や学校生活の中でも表現し合えたらどんなに毎日が楽しいか。子どもたちと触れ合うたびにその思いに駆られます。そのために、担任として何ができるのか、私が実践していることをいくつか紹介したいと思います。

声を出すことで自分の存在感をアピールでき、自己肯定感の高まりにつながる

声を出すことで自信をもたせる

 授業は子どもたちとのコミュニケーションで成り立っています。その際、気になるのが発言を得意としている子どもと苦手としている子どもがいるということです。

 発言力のある子どもは自分の考えを表現することができるので、思考を巡らせながら授業に参加しているように感じますが、そうではない子どもは考えがあっても「恥ずかしい」「間違っているかも」「自分が発言しなくても誰かが言ってくれる」などの思いを抱きながら授業を受けているように感じます。誰もが授業に興味をもち、楽しく参加できるようにするには、子どもに自信をもたせることが大切です。

 その第一歩は「声を出すこと」だと私は考えています。声を出す学習はたくさんありますが、中でも国語の音読指導は効果的です。学級全員や先生方の前で緊張感をもちながら間違えずに読めたことが自信につながります。積み重ねることで次第に声は大きくなります。「先生、今日も音読やりますよね!?」と学級全体が盛り上がります。今まで消極的だった子どもが挙手したり、友達の考えに意見したりする姿が増えていくと、授業もにぎやかになって笑い声が絶えません。また、音楽の合唱も一人一人が自信をもって大きな声で歌ったり、日常の挨拶も元気いっぱいに交わしたりするようになります。つまり、声を出すことで自分の存在をアピールでき、自己肯定感を高めることにつながるのです。

大役を果たすことで達成感を得る

 大役というのは、学級三役や児童会、学校行事等で先頭に立つ任務のことです。やりたい子どもがやるのではなく、私の場合はまず全員にチャンスを与えます。どの子どもにもやり遂げられる力はあるのです。先のことを難しく考える前に、少しでも「やりたいな」「できるかも」という気持ちがあるなら背中を押してあげて挑戦させます。その子どもにとっては大変な任務かもしれませんが、自分から友達や先生方とコミュニケーションを取ったり自ら考えて行動したりすることで視野が広がっていきます。もちろん、学級みんなで見守り、支えてあげる雰囲気も育てていきます。

 やり遂げたことで得られる達成感と充実感は、子どもの表情を見たら分かります。そして、自信の表れは次への挑戦につながっていくのです。

自分の言葉で表現することで、自分の成長やよさに気付くことができる

子どもの変化は成長のあかし

 学校行事の作文を書くとき、私は子どもたちに「自分が成長したこと」を必ず書いてもらいます。 担任が感じていること以上に、子どもは様々な視点で自分の成長を実感していることが分かります。また、自分の言葉で表現することで成長を再認識し、自分のよさにも気付くことができるのです。その作文は学級通信にも掲載するので多くの人に読まれ、褒められる機会が増えてきます。先生方や保護者、子どもたちから「○○さん、変わったね。明るくなった」「□□さん、前よりしっかりしてきたね」などという話を聞くたびに、担任としてうれしく思います。子どもの変化は成長のあかしであり、担任としてこれ以上の喜びはありません。

終わりに

 子どもの人数にかかわらず、学級担任はやはり楽しいです。担任として与えられた時間でいかに子どもたちを変化(成長)させられるか、そのために担任としてどんな授業、声掛け、接し方ができるのかを試行錯誤しながら子どもたちと日々過ごすことができるからです。

 「褒めて伸ばす」。これが私のモットーですが、時と場合によっては厳しく接することもあります。褒めるときは思いっきり褒めてあげ、誤ったことをしたらどうすべきだったのかを一緒に考えます。

 子どもたちとともに担任としても成長し、いつまでも「自分らしさ」を大切にする学級経営をしていきたいです。

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