わたしの学級経営(353号)

「子どものやる気を引き出す」

池田町立池田小学校 教諭 松村 健史

はじめに

 教員になって十数年。毎年、目の前にいる子どもたちのために何ができるのか、頭を悩ませながら試行錯誤の連続です。特別なことをしているわけではありませんが、学級担任として実践してきた取組をいくつか紹介させていただきます。

感謝の気持ちを忘れず、失敗を認め受け入れ合う関係を築いていこう

学級開きで伝えていること

 進級は、子どもたちにとってよい意味で自分を変えるための絶好のきっかけです。「頑張ろう」「挑戦しよう」という意欲も高まっています。しかし、学習も生活も、もちろんうまくいくことばかりではありません。そこから一歩踏み出すには、本人の努力だけでなく周りの支えが不可欠です。だからこそ、クラスの子どもたちには「人から愛される人になろう」といつも話しています。
 現任校では、3年生と4年生を単年度でそれぞれ2回ずつ担任してきました。学校生活にも慣れ、更に伸びようとする子どもたちに向けて、1学期の始業式の日に必ず伝えることがあります。それは「ありがとう」と「ごめんなさい」を大切にしようということです。

【始業式の朝に子どもたちを迎える言葉】

 シンプルですが、気持ちを真っすぐに伝える言葉を素直に言えるのは大切なことです。感謝の気持ちを忘れず、失敗を認め受け入れ合う関係を構築していくことが、子どもたちの成長を大きく後押しすると信じています。

意図をもって委ねる。やってみてうまくいかなかったというのも大事な経験

行事での取組を工夫する

 運動会や学習発表会などの大きな行事は、子どもたちが成長するチャンスです。時間を掛けて取り組むものだからこそ、子どもたちの「やりたい」という気持ちを引き出したいと考えています。そのために必要なことは、子どもが自分たちで決める活動を位置付けることです。かつての私は、保護者や地域の方などの観客が大勢いるため、良いものを見せたいという思いが強くなりすぎてしまうことが何度もありました。
 しかし、「誰のための行事なのだろうか」とふと立ち返ったとき、行事は子どものためにある、子どもが主役であると再認識しました。

 運動会では、子どもたちの意見を取り入れる場面を意図的に設定しています。団体種目では内容を決めるところからスタートしますが、中学年だと始めから全て決める時間を確保できないので、ある程度形が決まったものを提示します。そうすると、何度か練習していくうちにルールの曖昧な部分や細かい部分の課題が出てきます。そのタイミングを逃さず、練習の直前と直後に話し合う機会を作ります。勝敗に関わるので子どもたちも一生懸命です。
 「ここはどうする?」「ここはこうしたい!」という思いが子どもたちから出てきます。教員から「これはこう!」と簡単に決めてしまえるものもありますが、そこはぐっと我慢します。子どもたちからたくさん引き出すことで、考えを促すことを大切にしたいからです。

【グループに分かれて話し合う子どもたち】

 また、種目名の決定を子どもに委ねることもあります。初めに文字数の目安と種目の内容が伝わるようにすることを示して、グループごとに話し合いをします。一人一人が根拠をもって意見を出し、よりよいものに練ってグループの案として提示します。最後は1つに決定するわけですが、その過程で種目について改めて見直す機会にもなりますし、自分たちで決めたことで愛着も湧いてくるでしょう。
 学習発表会でも、子どもたちが選択して決定する場面を意図的に設定しています。例えば、音楽発表であれば、授業で学んだことプラスアルファになることが多いでしょう。学習したものの中で子ども自身が発表したいものを選んだり、実行委員会を組織して全体の構成やセリフなどを考えたりします。子どもに委ねつつも、放任しすぎないためのバランスにいつも悩みますが、子どもたちがやり遂げたときには必ず達成感を得られるものになると感じています。

係活動を通して役割の大切さを身に付ける

 学級づくりで大切にしているものの1つに係活動があります。1学期が始まって話し合いをして決めていく訳ですが、なかなかうまくまとまらない場合もあります。希望の偏りのほか、「この係もあったほうがいいのに…」という担任としての思いが内に生じることもあります。1人だけの係にならないようにはしますが、それ以外はぐっとこらえて任せます。その代わりに2~3週間に1回程度、見直しの機会を作ります。やってみてうまくいかなかったというのも大事な経験だと考えているからです。
 そのため、新しい係を増やしたり、係を掛け持ちしたりすることもOKにしています。これまで担当した学年では、「ほかの学級がしていて楽しそうだからクイズ係を作りたい」「みんなに呼びかけたいことがあるから新聞係を作りたい」と、必要に応じて新設したものもたくさんあります。

【教室後方には係組織を並べて掲示している】

終わりに

 もちろん担任として教えなければいけないこと、決めなくてはいけないこともたくさんあります。しかし、その中で「子どもの考えや思いを込められるものがまだあるのではないか」「自分で考え、行動できるチャレンジ精神をもった人間になってほしい」といつも考えています。
 これからも自分自身の指導・支援を振り返りつつ、子どもを中心に据えた学級経営を心掛けていきます。

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