子どもたちが中心となる学級づくりと授業づくり
大樹町立大樹小学校 教諭 本田 大将

はじめに
教員になって、11年目になりました。働き始めた頃は、授業も生徒指導もうまくいかないことばかりで、「どうしてうまくいかないのだろう」と毎日悩んでいました。その時に、尊敬できる先輩方から頂いた助言もあって、今の自分があると思っています。そこで、これまでの経験を振り返り、私の授業実践を「学級づくり」「授業づくり」という視点でご紹介いたします。
子どもたちがつながる「学級づくり」
伴走者として、子どもたちが輝ける居場所づくりを目指す
私が初めて学級担任になったとき、「何を大切にしていけばいいのか」をずっと考えていました。その迷いから学級経営がうまくいかず、考え、悩む毎日でした。そのとき、一緒に働いていた先生方にたくさん相談に乗っていただいたり、様々な授業実践や教育講演を見たり聞いたりしていく中で、「自分の力だけで学級経営や上手な授業づくりを行うには限界があること」に気付かされました。

【1人1台端末を活用して発表する子どもたちの姿】
その中で、「賢さ」という言葉に出会いました。そこで私は、「賢さ」を「得意なことを多くの人に伝えていき、苦手なことや分からないことは『教えてほしい』と言えること」と捉え、実践してみようと思いました。意識するようになってからは、一貫した指導を行うことができるようになり、子どもたちにも多くの笑顔が見られるようになりました。
それまで教師の力だけではどうにもできなかったことが、子どもたちの力で解決できるように変わったのです。子どもたちが協力して、目標に向かって一生懸命に取り組もうとしていた姿が忘れられません。今でも、担任した学級の子どもたちには「賢さ」とは何かを伝えるようにしています。
また、「教員は伴走者」という意識で、子どもたちが輝ける居場所づくりを心掛けています。子どもたちに任せてみると、普段は見られないすてきな姿を見ることができるようになり、日々の授業での新たな発見にもつながりました。
子どもたちが中心となる「授業づくり」
課題解決型学習を通して、子どもたちの「学びに向かう力」を育む
授業を考える際に大切にしていることは、「子どもたちの力でどれだけ課題解決できるのか」という視点です。その中で、子どもたちの活動が中心となりそうな取組は、積極的に行うように心掛けています。その中の実践例を1つご紹介します。
大樹町立大樹小学校では、令和7年度の校内研究主題を「主体性(ワクワク感)を育て、児童自らが学びをすすめる授業の創造 ~子どもが主語となる授業づくり~」と設定して、子どもが学び方や学習方法を自分で選択する授業づくりに取り組んでいます。その実現に向けて、第4学年社会科の単元「水はどこから」の学習において、「ジグソー学習」に取り組みました。「ジグソー学習」とは、グループに分かれて、それぞれのメンバーが異なるテーマや資料を担当し、その後、情報を共有し合うことで、全体の理解を深める学習方法です。
この学習を取り入れることによって、子どもたちが協力し、課題解決に向けて主体的に学ぶことができるのではないかと考えました。また、単に教科書を読むだけでなく、積極的に1人1台端末などを使って調べ、分かったことを教え合う過程を通じて、理解度を高めようとする子どもたちの姿を想像しました。

【課題解決の見通しを「学びプラン」で提示する】
この単元のゴールを「各グループが調べたことを、スライドを使って10分間で友達に伝えよう」と設定しました。単元の導入では、毎日使う水の量はどれぐらいなのかを調べ、その水はどこでどのようにしてきれいになっているのか、予想を立てました。単元の展開では、たくさんの予想の中から4つの課題にまとめて、各グループでどの課題を解決していきたいのかを「学びプラン」を使って選択しました。担当が決まったら、それぞれの課題解決に向け、調べ学習に取り組みました。教科書を使って調べる中で、もっと知りたいことなどはインターネットや関連資料を使って、スライドにまとめていました。
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【日頃からジグソー学習に取り組む子どもたちの姿】
調べているときは、1人で黙々と取り組む子どもや、友達と協力して取り組む子どもなど、自分の学びに合った学習スタイルで取り組んでいました。
その間、私は机間指導を大事にし、一人一人の子どもが課題解決に向かうことができるような声掛けを意識していました。
単元のまとめには、各グループが作り上げたスライドを全体に向けて発表しました。発表会が終わった後は、各グループが作ったスライドを1つにまとめて、単元の最後の時間に、そのスライドや教科書などを使って、個人で学びを振り返りました。
単元を通して、子どもたちは自分の担当部分について深く調べる必要があるため、主体的な学びが促進されたのではないだろうかと感じています。このように「授業づくり」では、教師から一方的に知識を伝えるのではなく、子どもたちが自ら調べ、考え、行動しようとする機会を通して、一人一人の自己肯定感を高めることもねらいにしています。
終わりに
私自身、様々な実践を行う中で、試行錯誤を繰り返す毎日です。この実践紹介が、目を通してくださった方の何かの参考になれば幸いです。この度は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。