わたしの授業実践(348号)

3年後の子どもをイメージした授業づくり

鹿追町立瓜幕中学校 教諭 山根 美早

はじめに

 私たちはコミュニケーションを図ることで視野を広げ、人生を豊かにすることができます。ですから、私は、日頃から子どもが英語を学ぶ楽しさとコミュニケーションを取ることの楽しさを感じられるような授業を心掛けています。今回は、英語でのコミュニケーション能力を身に付けるために、授業で意識して取り組んでいることを紹介させていただきます。

3年間を見通した計画を立て、継続することを通して、コミュニケーション能力を身に付けさせる

3年計画のスモールステップ

【リテリング活動における子どものノート】

⑴ 音読・リテリング活動

 1学年の12月頃までは、教科書の音読に力を入れています。まずは、一つ一つの単語を読めるようになることから始め、「英語らしく」読めるようにしたり、内容に合わせた音読を意識したりできるように指導しています。

 1学年の1月頃からは、音読に加え、リテリング活動を取り入れています。本文の内容を第三者に分かりやすく伝えることを意識させて、日本語でまとめる、英文にしてみる、キーワードを抜き取ってみる、自分の考えを加えてみるなど、少しずつ難易度を上げていくようにしています。英語が苦手な子どもも、自分で取り組むことができるように意識しています。

 この活動に慣れてきた2・3学年には、各自で自分に必要な活動を考え、音読とリテリングの練習をする時間を取っています。特に3学年は、全員がリテリング活動に積極的に取り組み、分かりやすく相手に伝えることを意識したまとめ方を工夫するようになってきています。今後は、「自分の考えを伝える」点について、より内容の濃いものにするための指導を考えていきたいです。

 

 これらの活動が、直接コミュニケーション能力につながるわけではないかもしれませんが、この活動を3年間継続することで、大切なポイントを相手に分かりやすく伝えられるようになったり、英文の成り立ちに気付き、正しい英文を使えるようになったりしている子どもが増えてきていると感じています。

 今後は、ALTの協力を得て、見聞きしたことや経験したことなどを、相手に伝える即興的なやり取りのある活動も取り入れ、子ども自身が伝える力が付いたことを実感し、自信をもってコミュニケーションを図れるようにしていきたいと考えています。

活動を通して「人を思いやる姿勢をもつこと」「仲間を知ること」につなげる

⑵ クイズ(人当て・もの当て)とスモールトーク

 1学年の3単現の表現を学び始める時期から、帯活動で「人当て(もしくは説明)クイズ」に取り組み始めます。教科の実践とは少し話がそれてしまいますが、この活動は英語習得以外にも2つの目的があります。

① 人を思いやる姿勢をもつこと

 例えば、「彼は背が低い」は「背はそれほど高くはない」、「彼女はうるさい」は「彼女は元気だ」といった表現にした方が傷付く人は少ないかもしれないということを考えて発言するよう促しています。

② 仲間を知ること

 瓜幕中学校は小規模校ではありますが、この活動を通してこれまで知らなかった人との共通点を知り、更に仲を深めることにつながるとよいと考えています。

【もの当てクイズの問題例】

 人当てクイズの次は、動物のように説明しやすいジャンルのものを取り入れます。そして、食べ物や国などといったジャンルに少しずつ変えていき、最後にはいろいろなジャンルのものを混ぜ、ペアでの活動をしています。

 ここでは、誰に説明をするかによって、説明の仕方が変わることも考えさせています。例えば、瓜幕中学校内では、「宇宙」は難しい説明をしなくても、「A先生が好きな場所!」と説明すればみんな分かる、ということです。

 人当て・もの当てクイズのペア活動で説明や質問のやり取りに慣れてきたら、身近な話題でスモールトークをする時間も増やしていきます。

 また、3学年では、英語で1つの話題に関して話し合ったり、議論したりすることが「話すこと[やり取り]」の目標の1つでもあるので、帯活動で「考え」「理由」「根拠や具体例を伝えること」を意識させながらスモールトークに取り組んでいるところです。

終わりに

 英語でコミュニケーションが取れるようになることで、世界が広がり、人生がより豊かになったと感じる子どもが少しでも増えるように、今後も授業の工夫改善を続けていきたいと思います。

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